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安全かつ低侵襲な手術と温かなフォローで患者さんの不安を軽減

安全かつ低侵襲な手術と温かなフォローで患者さんの不安を軽減

呼吸器外科

坂巻 寛之

呼吸器外科では地域の先生方から紹介された患者さんを受け入れ、肺がんをはじめとする呼吸器疾患への外科的治療を行っています。手術後は、患者さんが不安を抱くことなく日常生活を送れるよう定期的なフォローを実施。どんな思いで治療に向かい、患者さんに接しているのか、呼吸器外科医長 坂巻寛之先生の診療スタンスについて伺いました。

人のために貢献する仕事に憧れて医師の道へ

高校時代の話ですが、野球部での練習中に顎の骨を折るケガをしたことがありました。その治療を担当した口腔外科の医師が格好良く見えた、それが医師を目指した最初の動機です。その先生は突然の事故が起きた時、私の前に登場したヒーローのような人。非常に心強い存在でした。それに加えて、当時の担任から言われた、「人間は自分のためではなく、人のために貢献しようとした時に最大限の力を発揮できる」という言葉にも影響を受けました。これに当てはまるのが医師の仕事だと思ったわけです。

数ある診療科の中から呼吸器外科を選んだのは、研修医として当院にいた頃に出会った呼吸外科の医師が魅力的だったからでした。肺がんはがんの中で最も死亡率が高く、医師は再発しないことを目標として手術に立ち向かっています。その中で先生方の人間性に溢れた人柄に触れ、私もこんな医師になりたいと思いました。その後は他院でも経験を積みましたが、2021年に戻って来て現在に至っています。

初診から手術まで長くお待たせしないよう、可能な限り調整に努める

呼吸器外科で症例数が多いのは肺がんですが、心臓の周りにある縦隔の腫瘍などもよく診ています。当院は救急病院なので、気胸や血胸などの病気も多い状況です。がん以外の呼吸器疾患も対象としているのが、がんセンターのような医療機関とは異なる点ですね。

一般的に、がん診療連携拠点病院では初診から手術まで1カ月、時には2カ月と長く待つことが多く、特にがんの手術を受ける患者さんはこの期間を不安な気持ちで過ごしています。あくまでも状況によりますが、当院ではなるべく早く手術を受けていただけるよう日程調整に努めています。大規模病院と違い、当院の規模だからある程度融通が利くところも強みと言っていいでしょう。

手術後の患者さんが病気のことを忘れて生活できるようサポート

私が手術に際して心がけているのは、第一に安全です。出血によって患者さんが亡くなるような事態が起きないよう注意し、きちんと退院する姿を見届けるのが一番の楽しみです。次に大事なのが、患者さんへの負担、侵襲を少なくすること。手術後の痛みが最小限で済むように、可能な限りコントロールに努めます。そして3番目に見た目の問題、整容性にも配慮しています。

手術後は、例えば肺がんであれば最低5年間は呼吸器外科でフォローします。そのため、私たち医師は遠くの親戚より近い存在のようなところがあります。患者さんとお話しする時は、このステージなら再発の可能性が何%あるといった数字は最初に説明しますが、絶対に再発しないとは言いません。それよりも、「私の外来だけ忘れなければいいですよ」と伝えます。それでも、「がんは取ったが、まだ残っているのではないか」と不安に駆られる方も多くいらっしゃいます。気持ちはお察ししますが、万一再発したとしても次の一手を考えるので心配しないで任せていただきたいですね。がんを取った後は病気のことは忘れて、普通に生活してほしいと思っています。

患者さんの人生を彩る瞬間に関わることが何よりの喜び

私が医師としてやりがい感じるのは、まず予定した手術を終えて患者さんがベッドに戻った時です。その次は患者さんが回復して退院される時、そして退院後1回目の外来で元気な姿を見た時。最後に、がんの患者さんであれば再発せず5年が過ぎた時です。再発するかどうかは手術の善し悪しで変わるものではなく統計学的に確率が決まっていますが、それでも再発なく過ごしている様子を見るのは嬉しいものです。この4段階を見届けるたびに、医者になって良かったと感じます。

患者さんとのやり取りで印象に残っているのは、「この5年間、先生に診てもらったから生きることができ、孫にも会えました」という言葉です。今でも思い出すと泣けてくるくらい、私にとって感動的な言葉でした。このような命の尊さを感じる瞬間は常に大事にしたいですね。

仕事から離れて頭をリセットすると新しい発想が生まれる

手術に関する医学書を読んだり、学会で手術の方法を学んだりして新しい知識を取り入れると、次の治療へのモチベーション向上につながります。ただし、それとは別に仕事とまったく違うことに費やす時間も大切です。例えば歴史や政治、経済など、医学以外の書籍や映画に触れ、普段と違う部分の脳を刺激するようなイメージでしょうか。頭の中を常に治療のことで一杯にしないで、別のことで頭を切り替える時間もあったほうがいいいと思うのです。そうすることで、「この治療のほうがいいのでは?」と新しい発想が湧くこともあります。

余談ですが運動もしたいと思っていて、休日は野球部時代の仲間から草野球に誘われることがあります。ただ、みんな本気でやるので打球が速く、手をケガするのではないかと心配になるほど。外科医は手が命ですから、残念ですが野球はほどほどにしようと思っています。

呼吸器病センターの風通しの良い雰囲気が密な連携を実現

週1回の肺がんカンファレンスでは、個々の症例について相談しながら治療方針を決めています。しかし救急病院である以上、その場で即決しなければならないこともあります。その点、当院では呼吸器内科・呼吸器外科をセンター化しているのでお互い快く即相談でき、わざわざカンファレンスまで待つ必要がありません。

それに加えて麻酔科との連携もスムーズです。手術は麻酔科医がいないと行うことができず、同時に手術室の空きがあること、手術室の看護師がいることも欠かせません。この3つがうまくいくよう努めてくれるので、早く手術を行うべき患者さんを早めの日程で調整するなどフレキシブルな対応が可能です。看護師や臨床工学技士、地域連携の担当者も含めてコメディカルもアグレッシブに動き、私たちが手術に集中できるよう配慮してくれています。こうした連携の良さも当院の長所ですね。

地域の先生方との間にパイプを作り、より多くの手術に対応する

肺がんの患者さんが最初から呼吸器外科を受診することはほとんどなく、多くの方は検診で肺に影が見つかり、肺がんと診断されてから手術目的でここに紹介されます。つまり、地域の先生方からの紹介がなければ手術件数は増えないわけです。外科医が手術をしなければ病院の評価は下がりますし、私たちも手術をしないで医局にいるような医師にはなりたくありません。そこで呼吸器外科ではさまざまな取り組みを進めてきました。

その1つが呼吸器外科の医師間直通ダイヤル、いわゆるホットラインを作り、地域の医療機関に通知したことです。これにより呼吸器外科関連の病気が疑われる患者さんについて相談しやすくなり、問い合わせが増えてきました。あわせて、「相模原協同病院 呼吸器外科のご案内」というパンフレットを作り、これも地域の医療機関に配布しています。こうした宣伝活動が功を奏し、2018年頃から手術件数が少しずつ増えてきました。

今後は八王子方面の方にも当院に来てほしいと考えています。というのは、病院名に相模原という地域名が入っているためか、地理的には八王子から近い割に八王子の患者さんをご紹介いただく機会が少ないからです。相模原だけでなく八王子も含め、地域の患者さんを責任持って診療していくつもりです。

済んだことより先のことを見据えて治療に臨む

私たちは外科医として手技を向上させ、新しい知見も取り入れていかねばなりません。2年後に迫った働き方改革に向け、現場の医師として発信していく必要もあります。外科医なら誰でも、目の前に患者さんがいれば仕事をすると思いますが、それが禁止されたら患者さんに不利益が生じる恐れがあります。どうすればバランスが取れるのか、ちょうどいい着地点を根気良く見つけたいと思います。

コロナ禍は呼吸器内科が主体となって対応したぶん、外科はそれほど直接的な影響を受けませんでした。しかし、当院が感染者を受け入れているという理由で手術後の受診を先延ばしにした方もいて、CTを撮った時にはがんが大きくなっていたなど間接的な問題もありました。それでも、なぜ受診しなかったのか問い詰めないようにしています。済んだことを責めるのではなく、そこから私たちがどう手を尽くすか。そうやって常に先のことを考えて治療に当たりたいですね。

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