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コロナ禍の経験を活かし、患者さんに寄り添う診療を目指す

コロナ禍の経験を活かし、患者さんに寄り添う診療を目指す

呼吸器病センター長・呼吸器内科部長

山本 倫子

呼吸器病センターでは呼吸器内科・呼吸器外科の病棟を一元化し、両科が連携して診療を行っています。この体制が原動力となり、呼吸器内科ではコロナ禍も診療を止めることなく多くの患者さんを受け入れてきました。当時の状況や診療に対するモットーについて、呼吸器病センター長の山本倫子先生にお聞きしました。

医師という職業への憧れがいつしか目標に

私が医師を目指したそもそものきっかけは、小児医だった叔父の影響でした。最初は漠然と憧れていたのですが、それが目標に変わったのは小学生の頃でした。祖父が肺がんで亡くなった時、叔父の言動を見聞きして私も医師になりたいと思うようになったのです。私が通った高校が医学部のある大学と提携していたので医学部進学を考えやすく、担任の後押しもあって初志貫徹することにしました。

医学部に入った当初は循環器内科に進むつもりでした。しかし、初期研修2年目で市中病院に出向すると、そこに同じ大学の呼吸器内科の医師がいらした関係で自然と呼吸器疾患を診るように。一緒に仕事をした先生方の人柄や診療の状況を知るうちに「私もこんな医師になりたい」と思い、最終的に呼吸器内科を選びました。

呼吸器外科と協働し、肺がんを主とした呼吸器疾患を診療

当院では呼吸器内科と呼吸器外科をセンター化し、同じ病棟で診療しているのが大きな特徴です。これにより内科・外科の横のつながりが密になり、患者さんに関する情報のやり取りもよりスムーズになりました。定期的なカンファレンスもありますが、外科の医師が近くにいるのでベッドサイドでも相談しやすく、垣根がないのは大きな利点です。週1回の病棟回診ではソーシャルワーカーや薬剤師、作業療法士も一緒に回って情報共有していて、個々の患者さんの状態について相談しやすい雰囲気があります。

相模原市では地域がん診療連携拠点病院として、南部は北里大学病院、北部は当院が機能しており、地域の先生方から肺がんの患者さんを多くご紹介いただいています。病状が安定したら開業医の先生にお戻しして密にやり取りするよう努めていますが、病状によってはそれが難しいこともあります。特にコロナ禍は当院は神奈川モデルの重点医療機関であったので、外来で半年ほど初診を受けられず地域の先生方とのやり取りが減った感がありました。少し落ち着いたタイミングで紹介を再開しましたので、再度病診連携の体制を作って行きたいと考えています。

新型コロナの国内第一症例を受け入れ、未知への挑戦を経験

2020年、日本国内の新型コロナウイルス感染症の第一症例を受け入れたのが当院でした。その患者さんは肺炎で咳が止まらず熱もあり、しかも武漢から帰国されたとのこと。最初は診断や治療に関する情報がなく、とりあえず感染隔離により対応するしかありませんでした。当院は感染症指定病院ではあるものの、手探り状態の感染症を引き受けるのは初めての経験。まさに未知への挑戦で、どこまで受け入れてどう対応するのか、問題が山積していました。

救いだったのが、その数カ月前、地域の医療機関と合同で感染症対策の勉強会を行ったばかりだったことです。ぶっつけ本番ではありましたが、そこでマニュアル化したものをベースに対策を練りました。保健所とこまめに連絡を取り、他院の感染症専門医の先生方とやり取りできたのも心強かったです。さらにもう1つ、状況を打破する要因となったのが院内のコメディカルとの提携です。多職種が一丸となることで最初の波を乗り切れたと思っています。

新型コロナの感染者を受け入れる際は、他の患者さんの感染対策にも苦慮しました。本来は感染者と接する医師を限定すればいいのですが、限られた人員の中で担当を分けるわけにもいきません。そこで感染対策を徹底しながら病棟をしっかり分けて診療を継続し、無事院内感染を起こさずに済みました。ちなみに、当院では2021年1月に新病院に移ったのを機にECMOを3台備えました。救急科もさらなる充実を図り、連携してECMOを回せる体制となっています。

健康診断や外来受診を先延ばしにすると重大な病気につながる恐れも

コロナ禍ではさまざまな弊害も発生しました。当院は地域の健診センターで肺の異常を指摘された方が紹介されることが多く、そこで初期の肺がんが分かることがあります。しかしコロナ禍で健康診断を先延ばしにした方が悪化してから受診するケースをいくつか経験しました。せっかくクリニックで紹介状をもらったのに、当院にコロナ感染者が入院していたために感染を恐れ、受診を控えた方もいました。感染対策は万全に行っているので、重大な病気が進む前に来ていただきたいと思っています。

患者さんの背景を汲み取り、根気強いコミュニケーションを心がける

呼吸器疾患は喫煙との関連が深く、患者さんには禁煙をお勧めすることがよくあります。でも、なかなか禁煙できない方に強く言い過ぎると拒否される可能性もあります。根気強く喫煙の影響で病気がどう進むかを細かく伝え、少しずつ禁煙に結びつくよう促しています。

患者さんがなかなか納得しない時も、禁煙の必要性を繰り返し伝えるしかありません。お話しする中で患者さんのバックグランドが見えてきたら、そこを汲み取って対応することが大切です。検査や治療を嫌がる方も同様で、ご家族も巻き込んで繰り返し説明し、負担にならない検査はないか、別の治療はできないかと模索しながら進めます。結局、どんな時も患者さんの思いを汲んで検討していく姿勢が必要です。

なお、呼吸器内科には禁煙や睡眠時無呼吸症候群の専門外来があります。禁煙外来はコロナ禍で一時ストップしましたが、やっと再開の目途が立ってきました。禁煙が必要な方はそちらでうまく禁煙できるようサポートしています。

患者さんの心の負担を少しでも和らげるよう関わりたい

患者さんが元気になる過程を見るのは嬉しいことですが、末期の肺がんなど、残念ながら回復が難しいこともあります。私たちは肺がんの患者さんを診る機会が多く、必ずしも明るい未来ばかりではないのが心苦しいところです。そんな時、患者さんが落ち込まないよう、心がプラスの方向に行くようにサポートしたいと思っています。ご家族と一緒に患者さんに寄り添い、少しでも良い状況に持って行けることが治療の理想です。

多職種と連携し、切磋琢磨する雰囲気がモチベーションの源

病棟では入院中の患者さんがスムーズに在宅復帰できるように、看護師が主体となり、ソーシャルワーカーも入って地域のケアマネジャーと連絡を取っています。外来では、がんでストレスの強い患者さんや今後の療養に悩む方に対してがん看護専門看護師がサポートし、各種ご相談に応じています。薬剤師からは薬の副作用への注意点などを説明し、包括的なケアにつなげています。このように他職種がそれぞれの専門性を発揮することに加え、当院では職種の壁を越えたコミュニケーションも盛んで、些細なことでも頼みやすいので助かっています。コロナ禍の話でも触れましたが、コメディカルとの連携が良いことが当院の大きな強みです。

このような職場の雰囲気は、私自身のモチベーションを維持する上でも役立っています。他科の先生方や研修医とは「一緒に頑張ろう」という意識を共有している感じがありますし、若い人も色々チャレンジして経験を積みたい、成長したいと意欲的で、私も良い刺激を受けています。

患者さん一人ひとりをチームで支え、余裕のあるケアを提供したい

当院には治療後のがんサバイバーが治療中の患者さんの相談に乗る、ピアサポートがあります(2022年9月現在は中断中。今後再開予定あり)。そのような場で、がん看護専門看護師だけでなく医師も一緒に患者さんに関わる機会を作ることも大事です。ただ、時間をどうやりくりするかなど、課題もあります。どの部門も人員が限られますが、患者さん一人ひとりに全員で関わり、余裕を持ってケアできる体制をもっと強化できたらと思っています。

今後、当院は地域の救急を重点的に担うという目標があり、忙しい病院になっていくと推察します。でも、そんな状況下で私たちが忙殺されることがあってはなりません。常に親身になって患者さんに接する姿勢を忘れず診療していきたいです。

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