小児科

小児アレルギー外来

はじめに

現在の日本では、子供が10人いたら少なくとも1人には何かしらのアレルギーがあります。また、今はアレルギーがなくても、例えばこれから離乳食を始めていくにあたり、食物アレルギーを発症するかもしれないという不安を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?そのため、アレルギーに関する悩みを抱えるご家族はとても増えています。しかしその相談の場や、医師からお話をさせていただく機会が十分に作られていないのが現状です。


当院には、小児科の中でもアレルギーを専門とする医師がおり、地域の中核病院としてアレルギーについて悩みを抱える方々の診療にあたっています。アレルギーの病気というと、主に食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、気管支喘息があります。ここではこの3つの病気についての当院の取り組みについてご説明します。また、アレルギーの病気は他にもアレルギー性鼻炎や結膜炎もありますので、こちらに関してもお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。


診療体制

当院でのアレルギー診療体制は、アレルギーを専門、得意とする医師、看護師、栄養士、薬剤師で構成されています。医師は日本アレルギー学会専門医を、看護師はアレルギー疾患療養指導士をそれぞれ有している者がいます。スタッフの中には、これらの資格者のもと勉強中の者もおり、皆が一丸となって日々研鑽に励んでいます。


また、アレルギーを専門とする看護師は「アレルギー看護面談」という外来枠を持つことで、より患者さんとのコミュニケーションを取りやすくし、お悩みに寄り添うことができるよう工夫しています。栄養士は「栄養指導」を通じて、食物アレルギーがある方のお食事のポイントについて資料を用いてご説明いたします。
ご希望の方にはご案内いたしますので、ぜひお気軽にお声かけください。

※アレルギー看護面談、栄養指導はともに医師の診察のうえ、ご予約をお取りしています。


受診までの流れ

アレルギーの最初の外来は、詳細な問診をとることから始まり、診断に応じてその後の方針をお話し、ご自宅で行っていただくことをお話しいたします。そのため、一般的な診療よりも時間がかかってしまいます。そこで当院では、専用の外来として「アレルギー初診外来(完全予約制)」を木曜日午後に開設しております。ご予約いただいた上での受診となりますので、当院代表番号にお電話いただき、小児科外来へとお伝えください。ご予約のご案内をいたします。また、午前の診療時間にご予約がなくとも受診は可能ですが、アレルギー初診外来をご利用いただいた方がよりスムーズです。

相模原協同病院(代表) 042-761-6020


例えば、こんな方にご利用いただいております。

  • 食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息をそれぞれ「疑い」や「っぽい」と言われたが、具体的にどうしたらいいかわからない。
  • 家族にアレルギーがあるけど、生まれたこの子は大丈夫?
  • なんだかよくわからないけど、「アレルギー」が不安で離乳食に迷ってしまう。
  • 湿疹がひどい。ずっと繰り返している、またはかゆくて夜起きてしまい困っている。
  • 咳を繰り返しているけど、喘息なの?

※初診時のご注意
当院では国の制度により、他医療機関からの紹介状をお持ちでない初診の患者様に、初診料と初診時保険外併用療養費をご負担いただいてます。まずはかかりつけ医よりご相談いただき、紹介状をお持ちになった上でのご来院をおすすめいたします。


食物アレルギー

食物アレルギーとは、ある特定の食物を食べることによって症状が出現する病気のことです。


離乳食の時期には、主に鶏卵や牛乳、小麦についてのアレルギーの相談が多く、実際に乳幼児期の食物アレルギーの原因の多くを占めています。昔の考え方では、アレルギー症状が出ることがあるから危険性のあるものは食べないようにする、または少しでも症状が出たらしばらくの間やめておく、というものが主流でした。しかし現在は「必要最小限の除去」といって、食物アレルギーの人であっても、安全に食べられる量を食べましょうという考え方に変わっています。

一口に「食物アレルギー」と言っても、人によって安全に食べられる量は異なります。例えば牛乳アレルギーの人が何人かいると、牛乳を1mlですら飲むと症状が出てしまう人もいれば、50mlを超えて飲むと症状が出てしまう人もいて、人それぞれが安全に食べられる(飲める)量は異なります。また、年齢が上がるとこの安全に食べられる量が増えていくのが一般的です。例えるなら、アレルギー克服のゴールに向けて一段ずつ階段を上がっていくようなイメージです。


そのため食物アレルギーがあるからと言って、ひとまとめに除去しましょうというのはちょっといい加減ですよね?もし数mlでも牛乳を飲むことができれば、その段階に適した乳製品や加工品の中でも食べることができるものをご紹介させていただくことができます。このように食物アレルギーの外来では、人によって異なる安全な摂取量を見極め、成長とともにその量が増えていくことを確認しながら、最終的に十分な量が食べられることを確認するまでフォローを継続していきます。

ここで、最初に挙げた鶏卵や牛乳、小麦という食材は多くの食品に使われており、離乳食のころから食べる機会が多いものになります。そのため食物アレルギーが疑わしいから、または不安だからということでこれら複数の食材を、もしくは1つだけでも完全に除去としてしまうとどうなるでしょうか?これはものすごく大変で、食生活の制限が極端に厳しくなってしまい、とても息苦しいものになってしまいます。しかし安全に食べられる範囲がわかっていれば、少しでもその制限から解放されることになります。


一方、ごく微量ですら摂取できない方も当然いらっしゃいます。そういった方には完全に除去するにあたってのポイントや、その時に足りなくなる栄養素の補充方法についてお話いたします。また、その後に少しずつ食べられるようになっていくかについて時間をかけてフォローしていくことも重要です。

 しかし、ご自宅で食べていただくにあたって、時には何らかのアレルギー症状がみられてしまうこともあると思います。ここでもう1つのポイントは、その時の対処法を事前知識として知っておいていただくことになります。また、それまでにみられたことがある症状に応じて、応急処置薬も常備していただきます。これらについて備えていただくことも、ご自宅で食べていただくにあたっての安心要素になると考えています。

食物アレルギーに関してご不安な方は、ぜひご相談にいらしてください。


食物経口負荷試験

では、安全に食べられる量を知るためにはどうすればいいのでしょうか?これは血液検査などで確定することはできません。実際に問題となっている食物をある目標量で食べていただき、症状が出なければその量は食べられる範囲内にあるとわかります。このように検査することを食物経口負荷試験と呼んでいます。

ただし、この時に食べていただく目標量は慎重に決める必要があります。人によって安全に食べられる量は異なるため、様々な観点から推定しなければなりません。そのためには、患者さんの年齢やそれまでにアレルギー症状が出た経緯、血液検査結果、合併したアレルギー疾患のコントロール状態などを参考にしていきます。




食物経口負荷試験の対象となる方は、①食物アレルギーを起こしたことがある方、②食べたことはなくとも様々な理由から食物アレルギーが疑わしく、危険性が高いと考えられる方になります。

①食物アレルギーを起こされたことがある方は、安全に食べられる量を確認するために行ったり、症状を起こされた時から時間を置いたうえであらためて食べられるかを確認したりするために行います。

②食べたことはないけど疑わしく、特に危険性が高いと考えられる方は、実際に食べてみないと食物アレルギーかどうかはわかりません。安全に食べられる量を少量から確認する必要があります。


当院では日帰り入院という形をとっており、食物経口負荷試験を専属担当する医師と看護師を決め、常に症状の変化に気が付けるように注意しながら実施しております。しかし残念ながら症状が誘発されてしまうケースもあります。その時はその症状に応じた治療を行います。この迅速な対応とその後のケアができるのも、専属スタッフが付く入院での食物経口負荷試験の強みになります。


※14時になっても強い症状が残っている場合は、退院時期の相談が必要になります。
※食べていただく負荷食物は、当院栄養部でお作りし提供させていただきます。


★当院で人気のかぼちゃのケーキ
このかぼちゃケーキに、牛乳や鶏卵、ナッツ類などその時の負荷食物を練り込むことで、なるべくおいしく食べていただこうと工夫しております。
写真は鶏卵1/2個をつなぎとして練り込んだケーキになります。


アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみが関節の曲がる内側や骨の出っ張る部位など特徴的な場所に、何度も繰り返されてしまう病気のことです。

このかゆみがひどいとそもそも辛いですし、さらに夜の眠りが浅くなることや、掻き壊した部分に細菌感染症を起こしてしまうことがあります。しかし、「あせも」や「なんとなくただの湿疹」として見過ごされていることも少なくありません。湿疹は軟膏治療で出にくくすることが可能です。軽い湿疹でもかまいませんので、お悩みの方はぜひご相談にいらしてださい。

また、ここ最近では赤ちゃんの乳児湿疹も放っておかない方がいいのではないかという考え方が主流になってきています。なぜなら、湿疹部分とアレルゲンが反応することがアレルギー発症のメカニズムの1つではないかとする、経皮感作というものが解明されつつあるからです。そのため、湿疹をできにくくする工夫として、赤ちゃんに保湿剤を使おうという動きがみられています。これにより、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症確率を低くできるかもしれないということがわかってきたため、当院でも保湿剤の使用を推奨しております。まだあくまでもまだ可能性のお話ではありますが、すでに日本におけるアトピー性皮膚炎と食物アレルギーのガイドライン(医療者が参考にする診療指針のことです)には保湿剤の有用性が明記されています。ご興味のある方はぜひご相談にいらしてください。


スキンケア指導について

実際に湿疹やアトピー性皮膚炎でお困りの方についてです。当院では、日本皮膚科学会のガイドラインに基づいて治療を行っています。詳細につきましてはぜひ直接お話をさせていただきたいので、ご相談にいらしてください。まずは医師の診察を行ったうえで、看護師より体の洗い方や軟膏治療のポイントなどについて具体的にご説明いたします。説明は実習形式で行っており、実際に石鹸を使って泡立てをしたり、保湿剤を軟膏に見立てて塗る練習をしたりしています。ぜひご参考になさってください。


気管支喘息

気管支喘息とは、呼吸の空気の通り道である気管がただれてしまい、過敏になってしまう病気のことです。もし何かの刺激で気管が過敏反応を起こすと、空気の通り道自体が細く狭くなっていまい、息がしづらくなってしまうのがいわゆる喘息発作という状態です。

咳が出てしまうこともあり、一見すると喘息発作なのか風邪なのか見分けが難しいこともあります。また、受診すると「喘息かもね」と言われたことはないでしょうか?乳幼児期の喘息の診断は、喘息のようなエピソードを複数回繰り返すことを確認することで行えます。そのため、ご相談に至るまでの経緯を詳しく確認しないと診断に至らず、適切な治療に結びついていない場合もあり、困っている方も少なくありません。


気管支喘息の治療について

気管支喘息の治療にはその状態によって2つのやり方があり、喘息発作時に行う発作治療薬と、無症状でも普段から行う長期管理薬があります。前述した通り、気管支喘息は気管がただれて過敏になっている状態です。苦しくなっている発作時に治療することはもちろん大事ですが、これだけでは不十分です。ただれた気管が過敏になりにくく、また発作が起きてもひどくなり過ぎないようにするため、無症状であっても普段から治療する長期管理薬というものが必要になります。喘息の重症度によって長期管理薬の治療内容が異なるため、どのようなお薬が必要になるか医師との相談が必要になります。

また他にも環境整備といって、ダニ(ハウスダスト)やホコリ、タバコの煙なども喘息と関連しますので、こちらに関してもお話をさせていただきます。