心臓血管外科

診療案内

診療概要

心臓血管外科では、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心臓弁膜症、大動脈疾患(動脈瘤、大動脈解離)、などの心臓・大血管疾患に対する外科治療および頸動脈狭窄症、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤、末期腎不全に対する内シャント手術などの末梢血管疾患に対する外科治療を行っております。近年の心臓・大血管手術ではますます高齢化が進んでおり、高齢者においても術後早期社会復帰が出来るような、より安全で低侵襲な手術が求められています。当院ではオフポンプ手術、弁形成手術をはじめ、胸部・腹部大血管疾患に対するステント治療や、末梢血管疾患に対するカテーテル治療を合わせたハイブリッド治療など、手術の低侵襲化にも積極的に取り組んで行くと共に、手術後には医師、看護師、理学療法士等によって構成されたハートチームによる心臓リハビリテーションを実施しており、急性期から回復期、維持期にかけても心肺運動負荷試験による運動処方を基に、安全で効果的な運動療法が出来るようサポートしております。また、当院循環器内科、相模原地区周辺の病院および診療所、日本大学病院(日本大学附属板橋病院日本大学病院)、独立行政法人国立病院機構災害医療センターなどと連携し、緊急手術症例においても円滑で速やかな対応が出来るよう、独自のネットワークを構築しております。平成28年10月より新たに常勤医師を1名増員し、非常勤医師2名とあわせ6名で日常診療にあたり、緊急手術を含めた地域の要請に応えてまいる所存です。


施設認定

・心臓血管外科専門医認定修練施設基幹病院
・腹部・胸部ステントグラフト実施施設
・下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施施設

特徴・特色

◆成人心臓病

当院循環器内科とハートチームを結成し、心臓病に対する治療方針を総合的に協議したうえで、個々の症例において最適な治療が提供できるよう体制を整えております。主に院内・院外からの紹介状をもとに手術相談を承っておりますが、初診の患者様に対しても循環器疾患のスクリーニングをした上で、適切な治療が受けられるよう循環器内科と連携して日常診療に従事しておりますので、お気軽にご相談下さい。また、急性冠症候群(不安定狭心症、急性心筋梗塞)や心筋梗塞後の機械的合併症(心室中隔穿孔、乳頭筋断裂、左室自由壁破裂等)および弁膜症によるうっ血性心不全急性増悪など緊急手術を必要とする症例に対しても24時間365日対応できる体制を整えております。お困りの症例がありましたら、お気軽にご相談下さい。 


◆虚血性心疾患

心臓を栄養する血管(冠状動脈)に狭窄や閉塞を来すことによって血流障害が生じ、心臓の筋肉(心筋)が酸素不足に陥る病気を総称して虚血性心疾患といいます。虚血性心疾患には症状(胸痛、胸部絞扼感、呼吸苦、冷汗、嘔吐等)が急速に進行し、命にかかわる病態へと変化しやすい急性冠症候群(不安定狭心症、急性心筋梗塞、心臓突然死)や、症状が安定し労作等の心負荷に伴い心筋の血流障害が生じる安定狭心症や、症状を認めない無症候性心筋虚血などの様々な病態があります。
虚血性心疾患の主な原因は動脈硬化であり、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が背景にあることが多く、喫煙、運動不足、過度の飲酒などの生活因子も関与しています。したがって、虚血性心疾患の治療には下記の治療に加え、生活習慣を改善させる必要があります。

 

虚血性心疾患の治療は大きく分けて

 ①薬物治療

 ②血行再建術 
  a)経皮的冠動脈形成術(カテーテル治療)  
  b)冠動脈バイパス手術

 ③運動療法(有酸素運動)
があります。

 

当院では循環器内科医とともにハートチームを結成しており、虚血性心疾患に対するガイドラインをもとに、個々の病態に応じて内科的・外科的治療を選択し、迅速で適切な治療が受けられるように心がけています。近年の高齢化社会に伴い、より低侵襲で安全な治療が求められており、ハイリスク症例に対するオフポンプ手術やハイブリッド治療(カテーテル治療+外科的治療)にも積極的に取り組んでおります。


◆心臓弁膜症

 心臓にある弁(自己弁)に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態を「弁膜症」といいます。心臓弁膜症には自己弁が変性・硬化し、開放制限が生じる狭窄症と、退行性病変、弁逸脱や弁輪拡大等により自己弁の逆流が生じる閉鎖不全症があります。これに対する手術には大きく分けて弁置換手術と弁形成手術がありますが、弁置換手術は自己弁を切除し、機械弁ないし生体弁を体内へ植え込む手術であり、主に狭窄症の患者に対して行われます。

これに対し、弁形成手術は主に閉鎖不全症を呈する患者に対して行われる手術であり、自己弁を温存する形で病的自己弁を修復した上で、人工腱索や人工弁輪等を用いることにより逆流を制御して、心臓の負担を軽減させる手術です。

弁置換手術に比較し、弁形成手術は
 1)手術後の心機能が保たれる
 2)術後の抗凝固療法が必要ない
 3)周術期合併症(左室破裂、房室ブロック、人工弁関連合併症等)が少ない

などの利点があり、単に「からだに優しい」というだけではなく、手術からの回復も早くより長生き出来ることが分かっています。ただし、心臓弁膜症には様々な病態が存在することから、修復の手法は個々の症例により異なり、弁形成手術後に逆流が残存する症例等においては、術後早期に再手術(再弁形成手術や弁置換手術)を要する症例もあります。

当院では自己弁温存手術を心臓弁膜症に対する第一選択としており、自己弁温存が難しい症例においても、弁下組織など温存可能な組織は極力温存した上で弁置換手術を行い、術後心機能が保たれるよう心がけております。


低侵襲心臓手術
最近多くの外科領域において手術術式の低侵襲化が普及しており、心臓外科領域においてもオフポンプ手術、弁形成手術をはじめ、胸部大血管疾患に対するステント治療(ステントグラフトおよびオープンステント治療)など、手術の低侵襲化に対して積極的に取り組んでおります。

その取り組みの一つとして、当院では胸骨部分切開による心臓手術を行っております。これは下図のように皮膚切開を小さくしたうえで、胸骨部分切開下に心臓手術を行うという方法ですが、術後疼痛や上肢可動制限の緩和および呼吸機能の改善を促し、術後早期より積極的な心臓リハビリテーションを行うことが出来るようになります。このことにより、美容面だけではなく、術後早期回復を促し、手術に対する満足度や術後QOLの向上に寄与するものと考えます。

胸骨部分切開による手術創

通常の胸骨正中切開による手術創との比較

◆大動脈解離

高血圧、動脈硬化性病変を背景に突然の胸背部痛や意識消失発作にて発症することが多く、昼夜を問わず緊急入院・緊急手術が必要となる疾患です。

当科では従来の大動脈解離手術よりも大幅な手術時間の短縮が可能なLIQR(Less Invasive Quick Replacement)や症例に応じてステント治療を選択し、より低侵襲な手術を行い術後早期回復・早期社会復帰を目指しております。また、若年者におけるマルファン症候群に対しては積極的に拡大手術(基部・上行・弓部置換術)を行い、救命のみならず長期予後を改善出来るよう心がけております。さらに、本年7月よりオープンステントグラフトが使用可能となり、遠位弓部大動脈瘤に対する新たな術式としてLIQS(Less Invasive Quick open Stenting)を行っております。

このことにより、従来手術侵襲が高く、ハイリスクなため手術を断念していた症例に対しても短時間・低侵襲に手術することが可能であり、上行大動脈から弓部大動脈におよび広範囲大動脈瘤の症例に対しても幅広く応用することが出来ます。


動脈瘤

動脈瘤は無症状で経過することが多く、スクリーニング検査(健康診断、人間ドック等)や心臓以外の疾患に対する検査の際に指摘されることが多く見受けられます。

高血圧症を含め動脈硬化性疾患(冠動脈疾患や脳梗塞を含めた脳・血管疾患、頸動脈疾患を含めた末梢血管疾患等)をお持ちの方や、喫煙されている方で腹部に拍動性腫瘤を触れる方は大きさに関わらずお気軽にご相談下さい。また65歳以上の方は一度超音波やCT検査にて動脈瘤の有無をチェックすることをおすすめいたします。

国内では2006年より腹部大動脈瘤、2008年より胸部大動脈瘤に対するステントグラフト治療(TEVAR)がそれぞれ保険償還となり、現在までに腹部で約30000人、胸部約10000人以上の患者さんがステントグラフト治療を受けています。しかしどこの施設でも施行可能なわけではなく、厳密なステントグラフト実施委員会の管理により実施認定施設にて実施資格を持った外科医のみが施行することが可能です。

当院も2014.1月より実施施設認定の申請を行い治療が可能となりました。胸部・腹部大動脈瘤ともステントグラフト治療が可能です。外来にて術前の検査を行い、ステントグラフト治療であれば最短2泊3日の入院で治療が可能です。開腹手術では10日~2週間程度の入院で行います。


◆閉塞性動脈硬化症

近年食生活の欧米化に伴い動脈硬化は増加の一途をたどっております。動脈硬化性疾患では狭心症、心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患や脳出血、脳梗塞をはじめとした脳血管疾患の認知度は高く予防含め確立されています。

しかし大動脈から下肢動脈における動脈硬化性疾患である閉塞性動脈硬化症は患者さんの認知度も低く、下肢の間欠性跛行(歩行時の痛み)や虚血性潰瘍があっても整形外科、皮膚科、形成外科などの科を訪れることが多いのが現状です。しかも下肢の閉塞性動脈硬化症は動脈硬化の末期像と称され、虚血性心疾患、脳血管疾患の合併頻度は50%と非常に効率であり、約90割の患者さんはこれらの病気でお亡くなりになります。

下肢の診療も重要ですが、同時に心臓、頭のメンテナンスも行うことが大事です。

当科では簡単な血圧脈波による下肢の動脈硬化の評価も当日施行可能です。血流異常を認めない場合でも早期に動脈硬化のメンテナンスを行うことは非常に重要です。こうした予防、診断はもちろんのこと、外科手術治療や2泊3日でのカテーテル治療も専門的に行っておりますので、気軽にご相談ください。

特に糖尿病や腎不全にて維持透析中の患者さんはちょっとした怪我などから足が壊死に進行することも多く、早期の受診をおすすめいたします。


下肢静脈瘤

外観は網状のものから瘤状に至るまで様々であり、症状も足のだるさ、むくみ、かゆみ、痛み、さらには色素沈着や皮膚潰瘍に至るまで様々です。

下肢静脈瘤の代表的な治療は大きく3つあります。

 ①弾性ストッキングによる圧迫療法
 ②硬化療法
 ③外科治療

です。

 

静脈瘤の病態は表在静脈の代表である伏在静脈の弁不全による逆流が原因です。

①圧迫療法では逆流血が減少することでむくみ、だるさ、こむら返りなどのうっ滞症状を改善することができますが、根本治療ではありません。ご高齢で手術を希望されなければ圧迫療法で現状維持することも可能です。

②硬化療法は静脈瘤に直接細い針を穿刺し硬化剤を注入いたします。伏在静脈本幹の逆流がある場合は再発も多く、何回かに分けて繰り返し行うことも多い治療です。通常は外科治療の後の後療法で残存静脈瘤に対して行う場合が多いですが、本幹に逆流を認めない側枝型、くも状のタイプはいい適応です。

③外科治療は大きく伏在静脈を抜き取るストリッピング手術とレーザー治療があります。結紮するだけの外科治療もありますが、再発が多く最近はやられません。

当院では日帰り手術を基本としており、外来にてまず超音波検査をはじめとした下肢静脈のスクリーニングを行い、伏在静脈本幹の異常の有無をチェックいたします。その結果を患者さんにインフォームドコンセントし、治療の方針を一緒に決めます。レーザー治療もどこの施設でもできる治療ではなく、当院はレーザー治療が行える実施認定施設です。ストリッピング手術、レーザー手術とも保険診療可能であり、いずれも日帰り手術で対応可能です。


◆透析シャント(ブラッドアクセス)トラブル

糖尿病患者さんの増加に伴い糖尿病性末期腎不全で維持透析となる患者さんは年間40000人ほどの新規透析導入患者さんのうち約半数を占めます。

動脈、静脈とも糖尿病合併例では質は悪く当然透析のアクセスも長期開存が望めず、若年時より人工血管によるシャントを余儀なくされるケースも少なくありません。私個人は導入時、最初のシャント造設が一番大切であると考えております。それにより次の一手がうてるのかどうかも決まります。もちろん手術だけではなく、造設した後のメンテナンスは必要不可欠です。

透析クリニックでもシャントのメンテナンスまで手が回らないことが多く、定期的なエコー検査を行い、予防的に処置を行うことで開存率が格段に上昇すると思います。

当科ではシャントトラブル症例は基本的に外来レベルでカテーテル治療、手術を行いその日のうちに使用可能な状態で紹介施設にお戻りすることを原則としております。またシャントの定期フォローも行います。もちろん患者さんの希望があれば入院治療や当院血液浄化センターにて透析することも可能です。


◆その他

その他、心臓血管外科領域に対する日常診療や手術適応を含めたセカンドオピニオンとしてのご相談も承りますので、お気軽にご相談下さい。


外来日


 金 土 
午前吉武
(心臓外科)
木村
(血管外科)
服部
(血管外科)
吉武
(心臓外科)
午後吉武
(心臓外科
紹介のみ)
服部
(下肢静脈瘤
専門外来)
吉武
(心臓外科
紹介のみ)


受付時間
月~木曜日 午前・・・  8:00~11:30
月・木曜日 午後・・・13:00~15:00
水曜日   午後・・・13:00~14:30


時間外や新患(紹介状なし)の方も承っておりますので遠慮なくお越しください。

*外来診療状況や手術により対応が遅れる場合もありますので、可能であれば事前に外来看護師までご連絡下さい。